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お知らせ

2018.07.19

国を治めるとは・・・

激甚災害に指定された「西日本豪雨」で被災された皆様には、心からのお見舞いを申し上げます。 一部マスコミ報道などでは“想定外”とか、“何十年ぶり”の雨量だったとかの事後解説もありますが、小職にはまったく納得できないというか無責任なコメントとしか聞こえず、憤りすら感じる今日この頃です。 近年(08年の国土形成計画)でも、はっきりと「近年の雨の降り方は局地化、集中化、激甚化している」と、そして(15年の国土形成計画)では「さらに今後、地球温暖化に伴う気候変動で水害や土砂災害が頻発・激甚化するであろう」との見通しがなされていたにも係わらず、なぜこの様なコメントが繰り返されるのか・・・。

 

一方、今世紀に入ってからの日本の財政事情(いわゆる国の借金)の悪化から、その改善(収支バランス)を目差して最初に手を着けたのが、国債の発行を減らすべくの「公共事業予算の削減」でありました。 一番解りやすい政策スローガンが「コンクリートから人へ!」というもので、その傾向が続いた結果・・・公共事業予算の削減、その中での治水事業費も日本全体(日本政府)の18年度治水事業費は7961億円で、ピークだった1997年の1兆3700億円の約1/2にも大きく減ってしまっていたのです。 

 

今回も大きな被害が出た広島では、近年土砂崩れや土石流が頻繁に起こっており、土留工事に掛かっていたにも関らず、完成前に水害に襲われた・・・間に合わなかったで済ませてはいけない事例と思います。 もっと大きなスパンで振り返り、歴史の教訓としてはっきりと思い起こさなければいけないのは、本当に多くの犠牲が出た昭和の「伊勢湾台風」のことです。 これは江戸中期、名古屋の木曽三川が毎年水害に襲われるので、幕府の英断で大土木工事に着手(諸藩に命じて、人も金も)し、その結果その後水害は激減し、この濃尾平野が豊かな農耕の地となり、急激に人口が増える江戸時代の食料増強策も適い、長く平安が続いた。 が、その後の「堤防の補強」をなおざりに過したために、起こるべくして起こった人災であるとの結論として記録もされているのです。 もっと々、大きな歴史的事実として言われているのが、「4大文明の発祥地」も全て大きな川の流れに沿っている場所であったが、現代は発展せずにすべて“衰退”してしまったのは、やはり「巧く治水が出来ない歴史」が繰り返された結果、との説もあるのです。

 

今日の日本では、今回の水害だけでなく近年繰り返される地震などの大自然災害に対する防御体制(インフラ整備)がまったく充分でないことが証明され続けている(毎年々)ことに異論のある方はいないと思います。 特に日本各地の橋梁や多目的ダム、河川の堤防、上下水管、トンネル(道路も線路も)etc.の殆どが戦後の高度成長期前半に作られたものが50~60年経過で耐用年数を完全に超え、いわゆる老朽化てしまっている。 このまま対処(建設し直しかメンテ)せずに放置したり遅れてしまえば、その内崩れるのはブロック壁だけでなく、あちこちで日常の光景(毎日のニュース報道)となり始めることへの強い懸念!?なのです。

 

しかるに、財務省の「17年度決算概要」発表では“税収が2年ぶり増”、しかしながらその結果の剰余金はその大半を借金返済に充てる・・・という報道内容でした。 来年度の予算編成も始まっていますが、総花的に増える概算要求が出ているが、全てが「同じ項目での対前年度+」の考え方(従来踏襲)の様です。 我々民間の企業でも、長期スパンに立ったインフラ投資を、勇気と決断で、未来社員への責任から積極的・優先的に行う場面もございます。 日本と言う国の舵取りを任されている議員・官僚の皆様には、今こそ“メリハリ”と“優先順位”をですね・・・はっきり言って「コンクリートも人も!」のスローガンに変えて、それに基ずき実行の根拠となる19年度予算編成に仕上げて頂きたく、の問題提起を本稿の結論とさせて頂きます。

 

国土交通省、責任者の皆様へ

「国土も交通もガタガタです」

「水を治めるもの、国を治める」

「人類は自然には勝てない、しかし“人災を無くす”ことは出来る」

 

 

平成30年猛暑の候、ご自愛専一に・・・                  代表取締役 松元 收

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