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2016.06.03

未来への投資

 Uクロ社の「ヒートテック下着」が開発されたのは、喫茶店で女の子同士の会話、「今日は寒いよね、ババシャツ着てきたので、太って見えていやだわ」・・・この会話を聞いた、U社の社員が、「ああそうか、重ね着(厚着)をして保温するのでなく、(使い捨てカイロのように)自ら発熱する下着を作れば!」と気付き、その下着の材料(繊維)を開発すべく、あらゆる繊維メーカーに共同開発を提案するも「そんなの無理!」と、断られる中で・・・一社だけ、Tレ社だけが興味を示しコラボ研究し、(発汗で温度が上昇する繊維素材の開発で)ヒートテック下着が完成したそうです。

 Tレ社の社長様のインタビュー記事が「Wedge3月号」にありました。 抜粋ですが、「炭素繊維にしても、海水淡水化の逆浸透膜にしても40年以上かけた」「この間、散々叩かれた“繊維をやめられない”“選択と集中ができていない”」「しかし、炭素繊維も逆浸透膜も人工腎臓も(全て)基本は繊維の技術、時流に迎合する経営をやっていたら我が社の今はない」「素材は組み立てやソフト産業と違い時間がかかる、社会の長期的課題からニーズを描き、中期計画でマイルストーンを置く」「でも、短期で赤字だと企業は潰れるから、利益追求も同時にしっかりやる」「炭素繊維は釣竿から、逆浸透膜は半導体の超純水向けという用途開発をしながら、技術を磨いた」「素材メーカーとしての基本に忠実に、あるべき姿を忘れず、やるべき事を確実にやる(進める)しかない」「Uクロのヒートテックだって、試作は1万回やった」・・・

(結論)『研究開発費を絞れば短期的には高収益に、しかし10年先20年先の成長はない』『長期的利益に繋がる確信があるなら、新(開発)事業を完成まで継続する企業文化を経営陣が大切に守り続けよ。当社の場合その結果、米Bイング社への炭素繊維供給で1兆円のビジネスに!』『研究開発費は、利益の変動に関係なく売り上げの3%程度を充てる事を継続してきた』


 今日隆盛を誇る自動車産業界も、調べてみますと、トップのTヨタ社は(流石ですね)その研究開発費は1兆円を超え(売り上げの5%)の規模でした。 ハイブリット車が生まれた理由も納得、これからの燃料電池車、EV車、自動運転技術・・・Tレ社と同じ様に長期的展望・コンセプトで開発に取り組んでいる姿は想像に易しい所です。 一方、燃費不正で問題を起こしたM自動車社は、どうであったか? やはり開発費(投資額)も少なかったですし、開発計画との妥当性が問われざるを得ない状況になったのは、ある意味必然だったのかと。


 弱電業界の窮状もSャープ社の例を挙げるまでも無く、大ヒット商品の次の開発がですね、同時平行で進めておけばというか、それが無かったから・・・今日の・・・。

{造船業界} あれだけ中国や韓国に取られたものが、(中国の)50%以上省エネのエコ船を開発した結果⇒受注は逆転したそうです!

<瀬戸内海、呉の造船業の活況> 

<環境に配慮の文化は日本だけ、継続的な研究開発が必ず良い結果に>

{スマホ部品} 初代のスマホ部品は、殆ど日本外(韓国、台湾)、しかし最新の機種部品は⇒60%が日本製だそうです!

<今後の進化(精密製)を考慮すれば、もはや日本以外では作れないが結論>


 Tレ社、Tヨタ社、M自動車社、Sャープ社・・・昨今の造船業界、スマホ部品業界・・・

色々なケースから、「研究開発費」=「未来投資」について、本当に考えさせられます。


【小職の中での結論】

「日本経済は(ここ3~8年以内に)必ず新たな黄金時代が来る」

<イエスパー・コール(エコノミスト・投資家)>という説があります。 その根拠は「日本はイノベーション原動力を秘めている」「具体的にはGDPの3.4%を“研究開発費”として投資(過去30年間増加)していて、その80%が民間企業によって」「米は50%以上が政府の軍需産業への投資」「日本はソニーのウォークマン以来何も発明していない!という米の人でも、乗っているのは“レクサス”⇒日本の自動車産業がその例で、日本はイノベーションに力を入れる事で、世界の先端を歩んでいるのです」というもの。


 小職もこの説には、納得ができます。 当社も、この来るべき近未来の日本の姿に乗り遅れる事なく(アベノミクス:“新しい矢”もこの事と)、いや時代を先取りした開発戦略・開発計画を大きな経営の柱にして、(売り上げも増やしつつ)開発費%を(せめてTレ社や日本の民間レベル3%代へ)増やしていく事への挑戦を、これからも続けていかなければ・・・そんな想いを、改めて強く意識・確認している今日この頃です。

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