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2012.10.17

「ノーベル賞」と「スクリューフレーション」

 京都大学の山中教授のノーベル医学・生理学賞の受賞は、とても嬉しい出来事でした。
でも、記者会見での「家族や(国の)支援がなければ、研究は続けられなかった。
改めて感謝しています」と謙虚に語られるお姿と、高校時代の大親友に語ったという
「iPS細胞(人口多能性幹細胞)は、臨床応用され具体的に患者さんを救うことが出来て
初めて『成果』なんだよ、だからこれからが勝負」とのお話を伺い、そのお人柄と、
常に医師の立場を忘れない考え方、本当に大きな感銘を受けさせて頂いた先週でした。

 さて、昨今の経済情勢を一言で言い表す言葉として
「スクリューフレーション・ショック」なる解説本に出会いました。
企業も個人も所得が伸び悩む(低下する)中で、原材料や生活必需品等の物価は上昇し、
企業活動や(中間層以下)の人達の生活そのものが苦しくなる「スクリューフレーション」。
 スクリューフレーションとは、中間層の生活水準の低下を意味する「スクリューイング」と
「インフレーション」を掛け合わせた造語で、この二つが同時に起こる経済現象のことです。
 これが起こる原因(背景)はズバリ"新興国の急成長"と、それによる"先進国の地盤沈下"
<USA、ユーロ、日本も先進国>で、その具体的な現象としては・・・
 ①先進国の所得は伸びない⇒人件費が安い新興国の製造業に対抗するには、
  先進国の製造業は給料を上げられないから。
 ②生活必需品の物価が上昇する⇒新興国が成長し、先進国並みの生活水準を求めだすと、
  食料品や資源、エネルギーに対する需要旺盛になり、価格は必ず上昇する。
 ③結論として⇒「日本でも間違いなくスクリューフレーションが起きている。
  即ち過去10年間所帯所得下がり続け、消費者物価も(ぜいたく品は下がるが、
  生活必需品は上がっている)」
  「スクリューフレーション現象は、いわゆる構造変化そのもので、日本国内の景気が
  少し回復程度では解決しない。新興国との間に賃金格差がある間は、かつての様な
  給料の伸び(初任給やベースアップ)は期待できない。
  少なくとも今後10年は、日本は厳しい状況と認識すべき。」
 ショッキングな結論ですが、受け入れなければならない今日の現実であると思います。
 では、このスクリューフレーションを脱するための処方箋は?
 どうすれば良いのでしょうか!?
 この本の著者は私見と断わりながら
 ①「国レベルの規制改革」
 ②「中間労働者層の意識と行動改革」しかないと論じています。
 規制改革を進めることで、産業の"活性化"を促進しイノベーション(新産業)を創出する。
 労働者も単なる労働から"会社が稼げる"ことを意識した、付加価値の高い労働力を醸成し、
且つ成果評価での賃金増加を果たす(これで、中間層から自ら脱出する)。
 会社もビジネスマン個人も、この2点を強く意識した経営スタイル・労働スタイルへの
進化が、スクリューフレーションを乗り越える必要条件として、問われているのだと
小職も感じています。

 日本での「ものづくり」に拘り、勝ち残るには・・・「スクリューフレーション」を
意識した経営方針(活動)に自ら舵を切り直さねばなりません。
 スクリューフレーションそのものは、他の経済情勢と異なり、金融政策や財政政策での
回避(解決)は絶対に困難なので、待ち(期待)の姿勢だけではダメなのです。

 これからも弊社は「新製品の開発販売」には全力を注ぎ続けます。
 そして(既存の製品群も含めて)、具体的な"世の為・人の為"製品群のラインナップ
ご提供で、お客様の問題を解決(救う)ことが出来てこそ企業活動の"成果"であると
位置づけ、そのチャレンジを続けてまいります。 
 山中教授のノーベル賞受賞から色々なことを学びつつ、
自らのイノベーションに対しての決意も新たな、秋の一日です。

 平成24年10月 清秋の候           代表取締役 松元 收

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